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 子供の頃ドンコ・モロコ・フナ・ハゼなどを釣って遊んだ。そして1980年、フライで初めてシラハエ・バス・ギル・ハス・カワムツを釣った。アマゴもイワナも簡単に釣れてしまった。
昔は良かった、でも現在も毎年新鮮な場面に直面する。体が動く限りフライは止められないかも。



オーナーへメッセージ

2008年03月27日

石に挟まった日

 一人で渓流に行って余り恐怖を味わったことが無い。
たぶん運も良かったのだろう。

 渓に降りるときも無理をしないようにしている。
高巻きも無理そうであればすぐに諦めるように心掛けている。
ヒヤっとしたことが無かったわけはないが多くは無い。

 この思い出もそんなに危機ではなかった。
川で危機一髪という経験をされたことがある方にとってはたわいも無い話かもしれない。
でもほんの一時ではあるのだけれど、川の中で立ったまま一晩を明かす事を決意した。
そんな思い出話です。
石に挟まった日

 滋賀県愛知川上流の茶屋川。
故山本素石氏の書籍にしばしば登場する川で上流には茨川の廃村がある。

 琵琶湖から愛知川沿いには楽に来れるので関西からの釣り人も多かったしそれほど魚影が濃い訳ではなかった。
でも当時はきれいな渓相で、未熟なFFMでも行けば必ずそこそこの魚が遊んでくれた。
1980年フライを始めてから数年はよく通った渓だ。

 三重県から行く場合には、今でも峠の三重県側は2トン車以上通行止めの細いつづら折りが続く、酷道と呼ばれる国道421号線を通る。
‘酷道 421’でググッってみると9000件もヒットするのには驚いた。
だが当時のもっと凄い酷道が滋賀県側の未舗装の悪路にあった。
10キロの未舗装路のうち5キロの最悪路を通過するのに20分掛かった。

 やっと到着した茶屋川は三重県から来るには秘境の様に感じられた。
当時は茨川までの辿道は拡張工事中で、車では折戸トンネルから数キロ先までしか入れなかった。

 4月の半ば。
いつもは友人と来る事が多かった。
その時は一人で夕方の一時を釣る目的でゆっくり家を出て林道工事の現場でユーターンして1~2キロ手前で入渓した。

 夕暮れになる前に何匹かのきれいなアマゴと紫の光沢の強い地場のイワナが釣れてくれた。
やがて林道の工事車両が下流へ帰っていくのが見えた。
この先にはもう誰も居ないはず。
至福の夕暮れが近付いてくる。

 しばらく遡行すると石で囲まれた長さ数メートルのプールが見えた。
その上にはもう少し大きなプールがある。

 下段のプールを釣ってみた。
小さなヤツが突きに来た。
上段のプールでも小さな魚がライズしていた。

 上段のプールを釣るために下段のプールの落ち込みの石のギリギリに立って上段のプールを観察した。

 ふと足先の石が動いたような気がした。

 とっさに右足を引いたが左足は逃げ遅れ甲の部分が石の下敷きとなった。

 下段のプールを構成していたその石は横幅が90センチくらい、高さと奥行きが30センチくらいで四角柱の様な形状だったと記憶している。
 左足に痛みは無い。
しかし石の重さそのものに川の流れが加わって足を押さえつけて動かせない。


 困った。
茫然と立ち尽くす。
上流にいた工事の人たちはとっくに帰ってしまった。
車で林道を走って来た時の記憶からも他に入渓者が居るとは思えない。

 迫り来る夕暮れ。
上流のプールでは元気を増した渓魚がライズしている。
どうせ動けないしやることがないし、フライでも投げてみようかと思った。
いったいこの状況で何を考えているんだか。

 ウェーディングシューズを脱いで足の脱出を試みるのはどうだろう。
だめだ、しっかり圧着して脱ぐなんてことは出来ない。
翌朝に誰かが林道を通りかかるまで助けは期待できない。
朝までずっと川の中で立ちっぱなしか?
間抜けな姿が目に浮かぶ。

 食料は無い。
一晩川の中に立ち続けるくらいの体力はある。
しかしうっかり眠ってしまってバランスを崩したら溺れるかも知れない。
朝の気温は何度くらいだろう?
でも死ぬほど冷え込むことは無いだろう。


 何分か後、靴の下の砂利が流れている感覚があった。
砂が多いんだ。動けるようになるかも知れない。
できるだけかかと部分の圧力を下げ砂が流れていくようにする。
靴の下の空間が徐々につま先へ広がっていく。

 足が動いた!
ほんの僅かに後退した左足に水流に押された石がのしかかってきてまた圧着。

 しかし抜け出せる確信が高まった。
砂が多いところで助かったよ。
石は水に押されて回転したがっている。

 今度は上手く石をやりすごさねば。

 また足が動くようになった。
今度は足を抜くとともに体を大きくのけぞり、左足が直線になるようにして石が出来るだけすねに当たらないようにした。

 ゴロン、石は左足の甲の上を回転して下流に転がった。

 助かった。
時間にしたらわずか10分か20分の出来事だったと思う。
林道に上がり車まで暗くなった道を歩く。
なんだか得たいの知れないようなものに見つめられているような気がして車までがとても遠かった。


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 山本素石さんの本は渓流で一時を過ごす人にとってはどれもとても面白いと思う。
その中で強いて最初に読む本をお勧めするとしたらこれかな?



 初版は1982年

 北海道から九州まで釣り歩いて集めた話がホノボノと語られています。
昭和初期に根尾川のアマゴが人力で峠を越え九頭竜川水系に移植された話とか・・・
 九頭竜ダム工事時の大蛇騒動は今も地元では語り継がれているのだろうか。



 やっぱりこれだろうか



 初版は1975年

 奥美濃の夜這いの話とか狸に騙される話とか、みちのくの話とかゴギの話とか・・・


 やっぱりどの本も面白いです。
みな昔の話になってしまうんですけどね。


 

 



 
 




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Posted by like a stream at 22:31│Comments(12)思い出
この記事へのコメント
こんばんは。

私も何度か恐ろしい目に遭いましたが、このケースは経験なしです。
地味に怖い話ですね。
単独の時は特に気を付けねば・・・
Posted by みかんみかん at 2008年03月28日 00:07
こんばんわ
私はまだその様な体験は有りませんが
何時遭遇してもおかしくはないですね、
特に林道が沿っていない谷では何時見付けて
くれるか解りません実際に林道で白骨が
見付かった谷にも釣りに入ってます。

山本素石さんの本は3冊有って時々
読んでいて何度読んでも飽きません。
Posted by おいかわ at 2008年03月28日 01:20
こんばんは

う〜〜ん、今のところは怪しい経験は無いのですが、事故はいつ起きてもおかしく無い場所に行くのですから、細心の注意が必要ですね。
更に、気を付けます。
Posted by sinzan at 2008年03月28日 01:36
こんにちは、なんだか怖い話しですね。川デビューの私は渓流は怖くなりました・・誰かに連れて行ってもらおう。では、又。
Posted by typertata at 2008年03月28日 08:29
おはようございます。
アタシも単独釣行が多いので、やばい状況はたまにあります。
突然の病は別として、事故などには遭遇したくないですね。
茶屋川は何時行っても不気味さが残る川ですね。でもたまに一人で行ってるけど・・・
今年も単独が多くなるのかなあ?
Posted by なみはやFF at 2008年03月28日 10:15
こんにちは

間一髪の出来事でしたね。
昨年は、仕事中のトラブルで、山中単独で夜を明かしたのは、5回ほどありましたが、翌日に必ず人が来ることが判っておりましたので、あまり不安感はありませんでした。
しかし、単独の釣りとなると、知らず知らずのうちに人里はなれてとなりますので、私も十分注意したいと思います。
Posted by hajihadu at 2008年03月28日 12:48
こんばんは!
1つ上の棚の流れが目線くらいの、
かなり斜度のきつい谷に行ったりしますが、
もし、でかい岩がバランスを崩してゴロン、
って転がってきたら、そこでジ・エンドなんですよね^^;
単独釣行は気をつけないといけないですね。
Posted by まつやん at 2008年03月28日 22:26
みかんさん、ようこそ。

>地味に怖い話し・・・
上手い表現をされますね^^。


おいかわさん、ようこそ。

 そうですね、白骨化しなくて良かった^^。
素石さんの本は本当に面白いですね、どこの川に行っても「あ~ここにも素石さんが来たんだな」って思ったりします。


sinzanさん、ようこそ。

私も怪しい体験は無いですね。
一度くらいは狸にだまされてみたいです^^。


typertataさん、ようこそ。

滅多にない体験ですが誰の身にも起きないことではないですからね。
できれば単独釣行は避けたほうが良いでしょうね。


なみはやFF さん、ようこそ。

茶屋川は林道がすぐ近くにあるのに不気味な感じはしますね。
なんか、かつて行き来した人々の思い出みたいな・・・どこかで昔の人と会うかもしれません^^。



hajihaduさん、ようこそ。

山中単独だと寝付くまでちょっと不安ですね。
人里はなれての単独釣行は無理は禁物ですね。


まつやんさん、ようこそ。

今考えると、右足が踏ん張れる状態の川底だったり石の大きさが大き過ぎなかったり砂地だったりと、運が良かっただけかも知れません。
滅多にはないんでしょうけどギリギリのバランスで立ってる岩も必ずどこかにはあるんでしょう。
Posted by release-windknotrelease-windknot at 2008年03月29日 00:02
渓流で夜になっていくのは怖いです。
私も去年、夕暮れになるのに川の出口が見つからず、右往左往しました。
早く川から上がるため、急いで移動しなければいけないのに、でも、なんだかつれそうなのでフライを浮かべてみたりして、、、話になりません(笑)
真っ暗になりそうになったときに、目の前に滝が現れたときは、さすがに焦りました。

石が挟まって出れなくなる。。そんなこともあるのですね。気をつけたいと思います。
Posted by サカガミ at 2008年03月29日 09:23
サカガミさん、ようこそ。

夕暮れに渓からの出口が見付からないと焦りますね。
でも釣れそうだし・・・分かります^^。
Posted by release-windknot at 2008年03月29日 22:04
こんにちは
ご無沙汰しています。
久しぶりだったので、記事を順に見ていたら、
この記事に思わず惹きこまれました。
まるで小説を読んでいるようでした。

最近、私もガサガサも少し慣れてきて、
少し警戒心が薄れていたようです。
今度の日曜日は久しぶりにガサガサへ行く予定なので、
気をつけなければと思いました。
いいタイミングで経験話が聞けてよかったです。
Posted by 白パンダ白パンダ at 2008年04月08日 12:47
白パンダさん、ようこそ。

滅多に起こらない事でしょうけど泣きそうでした^^。
日曜日のガサガサ、楽しみですね。
Posted by release-windknotrelease-windknot at 2008年04月09日 23:11
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