イワナがオーバーストックの堰堤

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2014年03月22日 12:38


 古~い釣り日誌からの思い出話です。
日付は1981年4月某日。
場所は山本素石氏の著書に何度も記載される滋賀県愛知川の支流、茶屋川の更に細流。
三重県側から国道421号線を通っていくのだが、当時は未舗装路も多い酷道だった。
関連記事石に挟まった日

 1980年から始めたフライフィッシングにはまっていた。
同時期にフライを始めた友人と共に茶屋川を目差した。
アクセスに難があるから秘境のように思えていたのかもしれない。
三重県側の狭い酷道を抜け、滋賀県側の降雨で削られて凸凹になった酷路を抜けた。
やれやれと少しほっとした時、道路からさほど遠くない場所に真新しい砂防堰堤が出来ているのが目に入った。

 
 茶屋川の目的地まではまだ距離があったが堰堤の上がどうしても気になった。
車を止めて友人と堰堤まで歩く。
堰堤の下は落ち込みで一畳もない小さなプールができていた。
水量は少なく、そこから続く流れは川幅が数十cmでブッシュに覆われとても釣りにはならない。
細流を釣りあがってくる源流指向派の人でもここまでは来ないと思われた。

 堰堤の高さは数メートル。
樹木の間を登って堰堤の上端に立った。
堰堤の上には6畳ほどのほとんど流れの無いプールがあった。

 堰堤の深みに沢山いる魚の群れ。
どれも20cm以下だと思われる。
アブラハヤやタカハヤではなさそうだ。
たぶんイワナ。
あいにくの小雨で視界が悪いけど数十匹はいそうだった。

 イワナかどうか確かめよう。
協議の結果そういうことになって車まで戻ってFFの準備をした。
堰堤まで登って釣り開始。
 
 何度も合わせ損ねてやっとイワナを釣った。
紫色の光沢の強い地場のイワナだったと記憶している。
粘ればどれだけでも釣れるようだった。
しかしみぞれ混じりの風雨が強まり堰堤の上からの合わせは難しく、やっと数匹づつを釣って(その数倍をバラした)堰堤の下に逃がした。

 体が冷えてきたのと、渓流の釣りがしたいので撤退。
茶屋川を釣ったが寒くて冷たくてさっぱりだった。

 堰堤の上のオーバーストック状態。
そのままにしておけば共食いして淘汰されて数を減らしてしまう。
それがとてももったいない気がした。
余計な人間のお節介なれどもっと救出しようということになった。

 一週間後
魚を運搬する入れ物も準備。
友人はルアーも持参した。
約6時間の間にあれこれ目先を変えて30匹ほどを釣った。
10匹ほどを堰堤の下に逃がして更に20匹ほどを車で運んでもっと下流に逃がした。
それでも堰堤の上には数十匹が泳いでいた。

 更に一週間後にまた堰堤に。
雨で水中が見えない。
気温が下がって虫も飛ばない。
条件が悪く2人で10匹も釣れなかった。
荒天になる前に茶屋川へ釣りに向かった。


 翌年に堰堤を訪れるとプールはすでに半分埋まっていた。
それでもまだ数匹のイワナを目視できた。
数年後に覗いたときには完全に砂で埋もれていた。

 何年か前に道路を通ったときには周りの木が育って堰堤自体が樹木に埋もれた感じだった。
今はこの道路も通行止めになっているらしい。
堰堤の上のどこかで原種かもしれないイワナはまだ命を繋いでいるだろうか。




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 かなりレアなケースだったと思う。
崩れやすい山のため、オーバーストックの状態は1年ほどしか続かなかった。
そうでなくても、堰堤に魚が溜まりやすいけどすぐに釣られてしまうからね。


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