クロカワゲラ⑦流下と羽化の関係

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2007年01月15日 20:12

 長かったクロカワゲラ編もやっと一区切りつきそうです。
今回は流下と羽化の関係から。

 クロカワゲラの成熟したニンフが水面を流下する話を色んな角度から書いたのですが、例えばカゲロウが多量に流れればスーパーハッチと表現するのですがクロカワゲラ編ではニンフのスーパー流下と表現してきました。
 流下してもすぐに羽化するわけではなく、どこかへ消えてしまいます。
 ご存知の通りカゲロウやトビケラは成熟したニンフやピューパが水面を流れたあと(水底羽化や水中羽化もありましたね)すぐに羽化してしまいます。
 その事と友人からクロカワゲラの水面羽化を見たという情報を得ていたこともあって、クロカワゲラも流下のあとすぐに羽化するものと思い込んでいました。

 前回の記事のスーパー流下の日、長時間立ちこんでいた私のウェイダーに複数のクロカワゲラニンフが止まりました。
 羽化の場所を求めて鈴なりになるのではという予想に反し、流れてくる量に比べて極少ない数でした。

 フローターで釣りをしているとトンボのヤゴが気付かない内にフローターに取り付いて羽化してしまうときがあります。
 同じように体をよじ登り、やがてウェイダーの上で羽化するのではと期待していました。
 しかし僅かな体の揺れに反応してウェイダーから離れてしまいました。

 流下が止まりライズも無くなった14時過ぎから下流方向へ河原を探索しました。
どこかでクロカワゲラが集団で羽化していて、歩くと煙の様に成虫が沸き立つ様を期待したのですが見当たりません。
 羽化途中の個体が河原の石や木にいっぱいという様子もありません。
成虫は見かけるのですがつい先ほど膨大な数量が流下したのに比べれば少ない数でした。
 いったいどこへ消えたのでしょう?

 昨年その答えに繋がる事象に気が付きました。
ニンフの流下が終わった河原でつまづいて、めくれた石の下に沢山の成熟したニンフを発見したのです。水際の他の石を幾つかめくってみるとやはり沢山のニンフが隠れていました。

 後日も石の裏が気になって時々河原の石めくりをしましたが、ある日アダルトが複数隠れているのを発見しました。しかし石の裏に脱皮殻はなかったのでその場で羽化したのではなく、交尾前のシェルターとして石裏を利用しているようです。
 羽化はどこか開けた環境で行われているのでしょう。石の側面にそれと思われる脱皮殻がついているときもあります。

 流下ののち上陸してから羽化に至るまでどのくらいの時間を要するのかまったく解りません。
何時間後か翌日なのか?
 自然状態での観察で答えを得るのはかなり難しいと思います。
今シーズンは流下している個体を採取して湿度を保ったケースに入れて持ち帰り、羽化に至るのか観察をしてみようと思っています。

 ところで水面羽化の可能性ですが、観察の結果からかなり低いと思われます。
しかし相手はまだよく調べられていない虫のこと、レアであっても予想外の事実も有るかもしれません。
 30種近くいるらしいクロカワゲラの中には水面を流されている状態でも脱皮に至ってしまう種も無いとは言い切れません。
 しかしながら私自信はかなりの数量をみながら一度も水面羽化に出会っていないこともあって、起きたにしてもかなりレアなケースといえるでしょう。

 そのあたりの続きからアダルトのフライの事まで書きたかったのですが、長くなってしまうのでまた後日。

 次回、やっとクロカワゲラ編を締めれそうです。


 

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